HEAT20とは?注文住宅で重視したい断熱性能とZEHとの違い
公開:2024.06.27 更新:2024.06.27注文住宅を検討する際、断熱性能は非常に重要な要素です。近年、高断熱住宅への関心が高まる中、HEAT20やZEHといった基準も注目されています。HEAT20は、住宅の高断熱・高気密性能を追求し、快適な室内環境を提供することを目的としています。
一方、ZEH(ゼロエネルギーハウス)は、エネルギー自給自足を目指す基準です。これらの違いを理解し、注文住宅に求める性能に応じて最適な選択をすることが重要です。
目次
HEAT20の特徴とZEHとの違い
HEAT20(ヒート20)とは、住宅の高断熱化・高気密化を目指す取り組みの一つで、快適でエネルギー効率の高い住宅を実現するための指標です。近年、住宅の省エネ性能に注目が集まる中、HEAT20やZEH(ゼロエネルギーハウス)という言葉を耳にする機会が増えましたが、これらの違いを理解することが重要です。
◇HEAT20とは
HEAT20は、日本の住宅における高断熱・高気密性能を追求するためのプロジェクトで、住宅のエネルギー消費を抑えつつ、快適な室内環境を提供することを目指しています。このプロジェクトは、建築士や住宅メーカー、研究者などが参加しており、住宅の断熱性能を評価するための基準やガイドラインを策定しています。
具体的には、住宅の外壁、屋根、床、窓などの断熱性能を評価し、高い基準をクリアすることを求めています。また、HEAT20は、居住者の快適性を重視し、夏場や冬場でも快適に過ごせる室内環境を提供することを目指しています。
◇HEAT20とZEHとの違い
HEAT20とZEHは、いずれも住宅の省エネ性能を高めることを目的としていますが、そのアプローチや目標には違いがあります。HEAT20は、主に住宅の断熱性能と気密性能を高めることに焦点を当てており、住宅全体のエネルギー消費を削減することを目指しています。
具体的には、暖房や冷房のエネルギー消費を抑えるために、高性能な断熱材や窓を使用し、建物の外皮性能を向上させることを重視しています。
一方、ZEHは、住宅のエネルギー消費をゼロにすることを目指す取り組みです。これには、住宅の断熱性能や気密性能を高めることに加え、太陽光発電などの再生可能エネルギーを利用して、住宅のエネルギー消費を賄うことが含まれます。
ZEHは、エネルギーの自給自足を目指しており、エネルギーの供給と消費のバランスをとることが求められます。そのため、ZEHでは、断熱性能の向上に加えて、エネルギーを生成するための設備の導入も重要となります。
日本の断熱性能は遅れている?HEAT20が注目される理由
画像出典:フォトAC
日本の住宅の断熱性能は、他の先進国と比較して遅れているとされています。気候変動への対応やエネルギーコストの削減が求められる中、HEAT20が注目される理由は何でしょうか?先進国の中での日本の断熱性能の現状と、HEAT20が注目される理由について解説します。
◇先進国の中でも断熱性能が低い日本
日本の住宅における断熱性能は、先進国の中でも特に低いと指摘されています。日本の気候は四季が明確に分かれ、特定の気候条件に最適化された断熱技術の導入が難しいため、断熱性能が後回しにされてきた歴史があります。
加えて、過去には家の通風や自然換気が重視され、断熱性能への意識や技術の進歩が遅れていました。日本の建築基準法も長らく具体的な断熱性能基準を設けておらず、建築業界全体の断熱に対する取り組みが進んでいませんでした。特に戦後の住宅建設ブームで建てられた多くの住宅は、現在の断熱性能基準に適合していない状況が続いています。
◇HEAT20が注目される理由
HEAT20が注目される理由は、その非常に高い断熱性能にあります。特に寒冷地では、良好な断熱性能は生活の快適さやエネルギーコストの節約に直結します。
HEAT20のガイドラインは、住宅の外壁や窓、屋根、床などの断熱性能を向上させ、エネルギー消費を大幅に削減し、住民に快適な生活環境を提供することを目的としています。さらに、HEAT20はエネルギー消費の削減だけでなく、住環境の質の向上にも焦点を当てています。
高断熱・高気密の住宅は、冬は暖かく夏は涼しい快適な室内環境を実現し、住民の健康にも良い影響を与えるとされています。このような性能向上は、実際の生活での快適さや経済的なメリットをもたらし、強い関心を集めています。
低い断熱性能がもたらす見過ごせない影響
日本の住宅における断熱性能の低さは、エネルギー効率の悪さだけでなく、住民の健康や生活の質にも深刻な影響を与えます。こうした問題に対応するため、国や自治体は省エネ基準の強化や独自基準の導入を進めています。
◇平成28年省エネ基準
平成28年省エネ基準とは、2016年に改定された日本の省エネ基準であり、住宅や建築物のエネルギー消費性能を向上させるための指針です。この基準では、断熱性能や設備機器の効率が評価され、住宅のエネルギー効率を高めることが目的とされています。
しかし、現時点ではこの基準は義務ではなく、2025年から義務化される予定です。2025年に開始される適合義務化では、現行の平成28年省エネ基準が義務化され、新築住宅や建築物はこの基準に適合することが求められます。
◇省エネ基準では不足?独自の基準を設けた自治体も
省エネ基準が国で定められている中、一部の自治体は独自の高い基準を設けています。例えば山形県の「やまがた健康住宅基準」は、国の基準を上回る厳格な要件を持っています。これは、山形県が地域特有の課題、特にヒートショックによる死亡者数の多さから、積極的な省エネ活動を推進してきた結果です。
この基準では、「HEAT20」の基準を参考にしており、特にUA値(熱貫流率)において国の基準よりも厳しい要求をしています。自治体が独自の基準を設ける理由は、地域の気候や生活環境に応じたより適切な住宅環境の提供を目指すためです。
また、これにより地域経済の活性化や住民の健康増進を図る効果も期待されます。自治体ごとに異なる基準が存在することで、より地域密着型の住宅建築が進み、住民の生活の質が向上するというメリットもあります。
HEAT20のグレードの違いと優れた効果
熊本で注文住宅を建てる際に、HEAT20の導入を検討している場合はグレードや効果を詳しく知っておきましょう。HEAT20の各グレードの違いと、それによって期待される優れた効果について解説します。
◇HEAT20のグレード
HEAT20では、断熱性能を「G1・G2・G3」の3つのグレードに分けています。これらのグレードは、地域ごとに異なる気候条件に合わせて設定されています。
G1は最も基準が高く、冬期間の最低体感温度が地域によって異なりますが、「1地域と2地域」では約13℃を下回らず、「3地域〜7地域」では約10℃を下回らない性能を持ちます。
G2はその次に位置し、冬期間の最低体感温度がさらに厳しく設定されています。「1地域と2地域」では約15℃を下回らず、「3地域〜7地域」では約13℃を下回らない性能が求められます。
G3は最新の基準であり、すべての地域で冬期間の最低体感温度が15℃を下回らない性能を持っています。これにより、より高い断熱性能が求められ、室内の快適性が確保されます。
これらのグレード設定により、HEAT20は地域ごとの気候特性に応じた最適な断熱性能を提供し、住宅の室内環境をより快適に保つことを目指しています。
◇HEAT20で期待される効果
HEAT20を導入することで得られる効果は多岐にわたります。まず、高い断熱性能によって室内の温度を一定に保ち、夏は涼しく冬は暖かい快適な住環境を提供します。これにより、居住者の健康や生活の質が向上します。
次に、高い断熱性能により冷暖房機器の使用頻度が減少し、エネルギー消費を抑えることができます。これにより、光熱費の削減だけでなく、地球環境への貢献も可能です。
さらに、HEAT20基準を満たす住宅は、高い断熱性能と省エネ効果により、市場価値が高まります。将来的な売却時にも有利に働くため、長期的な視点で見ても大きなメリットがあります。
最後に、エネルギー消費の削減は二酸化炭素の排出量削減にもつながり、地球温暖化対策としても重要な役割を果たします。HEAT20基準を採用することで、環境保護に貢献することができます。
HEAT20は、日本の住宅における高断熱・高気密化を目指す取り組みで、エネルギー消費を抑えつつ快適な室内環境を提供する指標です。一方、ZEH(ゼロエネルギーハウス)は、住宅のエネルギー消費をゼロにすることを目指す取り組みで、再生可能エネルギーを活用して自給自足を目指します。
日本の住宅の断熱性能が他国に比べて遅れている背景には、気候条件の多様性や建築慣習の影響があります。しかし、近年では気候変動やエネルギー効率の改善が求められ、HEAT20のような高性能な断熱材や窓の導入が推奨されています。
HEAT20の採用により、冬は暖かく夏は涼しい快適な室内環境が提供され、居住者の健康や生活の質が向上します。さらに、エネルギー消費の削減と二酸化炭素の排出量の低減に貢献し、地球温暖化対策にも寄与します。
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